開業への備忘録3-信頼関係は永続しない前提で契約書を作成する。


所属税理士(雇われ税理士)であるうちは、契約の主体は所長であるがゆえにお客様との契約書に対して無頓着であったとしても、独立したら当事者になるわけで、そうも言ってられません。

今回は、お客様と取り交わす「業務委託契約書」について考えてみます。

 

担当者に息つく暇はない

前回の記事では、お客様から「アドバイスが欲しい」というニーズがある一方で、それに応えきれていない税理士の現状を確認しました。

その原因の最たるものに経営者感覚の欠如を挙げましたが、もうひとつ考えられます。

それは目の前の仕事を「さばく」ことに注力しているためです。

「さばく」というと、語弊があるかもしれませんが、実状はそれに合っているでしょう。

複数の顧問先を抱えている担当者は、常に並行していくつかの仕事を進めています。

限られた時間の中で、腰を据えて個別の会社ごとに提案をまとめることは簡単なことではありません。

 

契約書を作り込む意義

私を含めて、せわしなく働く会計事務所職員。これについて考えることがあります。

「どこまでが会計事務所がやるべき職域なのだろうか」と。

会計・税務に関する相談については、当然業務の範疇に含まれるでしょう。

しかし、お客様から、「パソコンを購入したので、設定方法を教えに来てほしい」という類の問い合わせがあったと見聞きしたことがあります。

それほど懐に深く入り込めているという考え方もできるでしょうが、時間は有限です。

複数いるお客様に等しくサービスを提供するためには、あまり好ましくはないかもしれません。

これは、契約書に業務範囲を規定していないから起こり得ることではないかと考えています。

まず、やるべきことを話し合ってお互い納得しておく。これだけでも契約書を交わす意義になります。

 

自己防衛としての契約書

ご縁があって出会い、一緒にやっていきましょうと契約を締結します。

その時から培った信頼は、永続的に続くものだと信じたいですが、道中で何が起こるかわかりません。

「言った、言わない」の水掛け論に発展し、果ては訴訟にまで…ともなりかねません。

そうした場合でも、契約書を作成しておけばトラブルを未然に防ぐこともできるでしょう。

お客様と契約書を取り交わさない会計事務所はないと思いますが、テンプレートでは不十分です。

 

公開!わが事務所の契約書草案(抜粋)

それでは、現状、私はどのような契約書を作成しようとしているのか。

骨子は以下の通りです。最終的には、リーガルチェックを依頼したいと考えていますが。

 

第一条 業務委嘱の範囲

… いわゆる非弁行為など業法を犯すものや脱税とその指南は行いません。

また、行う業務は具体的に書いていきます。

第二条 オプションサービス

… 第一条とは別条項にすることで、有料化を鮮明にして報酬でのトラブルを防ぎます。

また、出来ないことは書かないことでねん出できる時間をサービスの向上に充てたいとも考えています。

第三条 契約期間

… お客様の事業年度。

第四条 契約金額

… 締結時にトラブルとならないように、事前にメニューを設定します。

 

以下、守秘義務や資料等の授受など、一般的なフォーマットを加筆修正して検討していきます。

 

まとめ

正直、お客様との業務委託契約書をまじまじと見る機会はあまりありませんでした。

独立を前に、当事者意識を持って見ると、作り込む必要があることを感じます。

不要なトラブルを避けるためにも、開業までにしっかり作り込みたいと思っています。

 

【編集後記】

「忙しいことは良いことだ」とおっしゃる人がいます。

確かに、開業してヒマだと不安にもなりますが、インプットする時間は一定程度は確保し続けたいとも思っています。欲張りですかね…。