外科手術ができる内科医になるべき?開業税理士に求められる知識について考える


先日、前職の同僚と飲みに行きました。相変わらず、再編や国際課税など高度な税法解釈に触れる機会は多いようです。

 

違いはスピード感

個人事務所に転職して1年。

最近、思うようになったのは、税理士法人時代よりも成長が鈍化しているということです。

前職では、経理部内に会計士や税理士がいることは間々あることで、事務所に来る質問は調べたらすぐわかるようなものはありませんでした。

税法的に専門書籍でも記述があまり見られないもの、他社事例など事務所のノウハウに依存する質問が多かったです。

しかも、その回答期限はほぼ決まって「なるはや(なるべく早く)でお願いします」。

上席に確認して回答することを考えると、自分がいつまでもボールを持っているわけにはいきません。

通常業務をしながら、連日、期限を考えて調べものをするというスピード感が要求されていました。

 

タックスヘイブンの適用除外は聞かれない

一方で、現在は、税法的に回答に窮する質問はそう多くありません。

日々受ける質問は、会計処理や中小企業が日常的に直面している人やオペレーションの問題などの比重が圧倒的に多いです。

そして、回答するに当たって求められる視点は、事業主目線であることです。

大企業をクライアントに多く抱える税理士法人に勤務していて、中小企業をメインにしていきたいと考えた時に、組織再編、連結納税や国際課税についても精通していれば話に深みがでるかなと思っていました。

しかし、組織再編ならまだしも、連結納税や国際課税に対する需要はあまりないのが現状ではないでしょうか。

ましてや、タックスヘイブンの適用除外要件などは今後、聞かれることはないでしょう。

(私が税理士法人退職前に、受けた最後の質問です)

それよりも、中小企業の社長たちは税法をわかりやすく簡潔に伝えることや資金調達、お金の残し方などの方がよっぽど知りたがっています。

 

ニーズを徹底的に考える

税理士法人時代からできていれば良かったのですが、転職して事業主の意識で仕事をするようになりました。独立を意識するようになってからはより一層です。

以前は、高度な税法知識を兼ね備えた、いわば「外科手術もできる内科医」のような税理士でないと差別化できないと考えていました。

しかし、多くの中小企業のニーズはそこにはありません。

再編や国際課税は条文も難しく、サラリと読みこなす人を尊敬すらします。

ただし、使う機会のない知識は陳腐化します。ならば、そこで戦わず、視野を広く持ってニーズを充足することに貪欲になっていきます。

 

【編集後記】

前職の人たちとの飲み会は刺激になります。

馬鹿話しかしませんが、みんなそれぞれの目標に向かって頑張っているような気がして、襟を正すような思いがしました。

 

【一日一新】

セントグレース大聖堂