「所属税理士」制度を考える。事務所内独立は定着する?


税理士法上、税理士として業務を行うためには以下のいずれかの立場で登録する必要があります。

・開業税理士(個人事務所を営む)

・社員税理士(税理士法人を運営)

・所属税理士(個人事務所または税理士法人に勤務)

平成26年に税理士法が改正され、所属税理士が一定の条件の下で個人的に仕事を受注できるようになりました。

勤務しながらの「事務所内独立」が可能となったわけですが、実際はどうなのか考えてみました。

 

補助税理士から所属税理士への変更

税理士法が改正される前は、所属税理士は「補助税理士」と呼ばれていました。

税理士登録をしないと税理士業務ができないわけですが、補助税理士として登録しても自分で仕事を受注できませんでした。

あくまでも、開業税理士または社員税理士の「補助」が仕事というわけなんですね。

その後、日本税理士会連合会は法改正を要望し、これが実現して現在の「所属」税理士となります。

制度の趣旨を引用してみます。

所属税理士制度は、所属税理士の本来業務は補助業務であるという前提に立ちつつも、次代を担う所属税理士の独立開業の一助となることを視野に入れ、 ( 中 略 ) 一人の税理士として委嘱者から直接業務を受けるものとして創設した制度です。

所属税理士制度(税理士法施工規則第1条の2)に関するQ&Aより引用

独立を後押ししてくれる制度であることがわかります。ありがたや^^

 

所属税理士が仕事を受注するためには

所属税理士が「委嘱者から直接業務を受ける」ためには、一定の条件があります。

いくつかピックアップしましたので、内容を見ていきましょう。

ポイント1. ボスから書面により承諾を得る必要がある。

アルバイト感覚で、勝手に受注することはできません。

また、受注する個人や法人ごとに「業務委嘱に関する承諾書」を所長に書いてもらう必要があります。

ポイント2. 三者間で業務を受けたことを説明する書類を交付する。

所長、所属税理士、お客様で以下の内容を確認する書類を用意する必要があります。

・所属税理士であること

・勤務する事務所名とその住所

・所長の許可をもらっていること

・自己責任で受注すること

ポイント3. 契約終了時もボスに報告する。

前述のQ&Aによると口頭での報告も可能である(A13参照)ようですが、書面が法定されています。

契約が終了したら報告義務があるようです。

ポイント4. 事務所を持ったり、人を雇うことはできない。

所属税理士の本来の業務は、補助業務であることを考えると事務所の設置や雇用は認められません。

ただし、勤務先の職員に手伝ってもらう程度であれば認められるようです(A22、A24参照)。

 

制度へのあたたかいツッコミ

…前言撤回します。

きわめて使いづらい制度だと思います。

まず、入り口であるポイント1.の許可をもらうことができるかどうかから怪しいです。

通常の業務のほか、個人的に仕事を受注したいと職員から申し出があったら所長はどう思うでしょう。

「手が空いているのかな?」と勘繰られること請け合いです。

そもそも、所長の立場であれば事務所の仕事に注力してほしいと考えるはずですし、申し出た人は独立を企図している反骨者(?!)というレッテルを貼られるかもしれません。

また、事務所にではなく所属税理士個人がお客様からお願いされたということは、個人的なファンになってもらったということであると思いますが、通常業務がある中でやる仕事は「片手間」にならざるを得ず、サービスの質が低下するかもしれません。

 

各現場の受けとりかた

ちなみに、私は独立を打診する前、勤務する事務所でこの制度への対応を所長に聞いてみました。

何気なくですよ、あくまでも。

結論は、個人での対応は認めず、事務所名での対応にするとのことでした。

しかし、営業成果を考慮して、顧問料の10%を給与にオンするとのこと。10%か…。

また、他社事例ですと、税理士法人ベリーベストの代表社員税理士である岸健一さんはブログで「原則禁止」とおっしゃっています。(TACの簿記論でお世話になりました。講義、楽しかったです。)

その理由も、自分本位によるモラルハザードなど容易に想像でき、納得できるものです。

 

まとめ

転職エージェントに話を聞くと、独立を支援する事務所が「のれん分け」はすれども、「事務所内独立」を推奨する話は聞いたことがありません。

今回の(といっても3年前)日税連による改正は、独立開業を後押しする施策としての姿勢は評価できるものの、現実には定着することは難しいんではないでしょうか。

 

【編集後記】

また子どもが風邪をひきました。どこからもらってきたのか。

産婦人科の託児所かスーパーのキッズコーナーか…。

…スーパー?

そういえば、明日ミニスーパーファミコンの発売日だ!