大は小を兼ねる?それはサラリーマン税理士の発想


会計業界に限ったことではありませんが、大は小を兼ねるというイメージがあるかもしれません。

大企業での知識や経験は、中小企業のそれよりも優れているという発想です。本当にそうでしょうか。

 

大手にいることのメリット

会計業界に限って話をします。

いわゆるBig4とよばれる最大手をはじめ、中堅以上の税理士法人に勤務するメリットを挙げてみます。

・一定水準の採用選考を突破しているため、職員の能力・マインドが高い

・クライアントの担当者のレベルも高く、応対をとおしてこちらも磨かれる

・組織再編や国際税務など高度で専門的な会計・税務業務を経験できる

・業務がシステマチックである

・人数が多いため、人間関係の距離感が近すぎない

一方で、慢性的な残業体質であるなど問題点もありますが、研修システムも充実していることが多く、勉強したことをすぐにアウトプットできる環境が整っています。

 

中小にいることのメリット

次に、個人事務所などの小規模な組織のメリットを挙げてみます。

・様々なバックグラウンドを持った人と接することができる

・お客様との距離も近く、膝を突き合わせた付き合いができる

・大手では細分化されがちな業務も、一気通貫して経験できる

・所長との距離も近いことが多く、相談などがしやすい

・少人数であるため、人間関係が希薄ではない

つまり、小規模であるがゆえの利点で、職員同士の距離も近く、家族的な付き合いをしているところが少なくありません。

 

中小向けビジネスはいつでもできる?

私は、前職である中堅の税理士法人を退職する際に、こう言われました。

「中小向けの仕事はいつでもできる。ここでもっと経験を積むべきだ。」

本当にそうなのでしょうか。

確かに、会計・税務だけでいえば、別表調整のない申告書をいくらやっても経験は積みあがりません。

それよりも、上場企業などの大企業の決算は、四半期開示により1年に4回行われ、単純に考えれば4倍速で経験が積めます。

さらに、申告は別表調整が多く、申告書作成にあたっての検討事項も多くなります。

この点でいえば、「大は小を兼ねる」という意見に賛成です。

しかし、特に独立を見据えた場合、税理士の業務は決算をしめて申告書を作るだけではないはずです。

 

お客様に寄り添う存在になる

税理士法人の場合、相対する担当者には企業内税理士や会計士であることが多々あるかもしれません。

そうでなくても、有資格者に匹敵する(またはそれ以上の)知識を持った勉強熱心な方もいました。

そういった方たちには、税制改正や自社にとって適用可能な最新の優遇規定を案内すると喜ばれます。

一方で、個人事務所や独立して、フリーランスの方などを相手に話をするときに、ちがう切り口でわかりやすく話をした方が通じます。

「減価償却」や「別表」などといった専門用語を多用しても印象に残らなかったりするのです。

私も、もっとわかりやすくスッと腹に落ちる言いかたがあったかもしれないと日夜苦心しています。

大手に長くいればいるほど、相手も経理に精通した人間であるため、ツーカーであることが当然だと考えてしまいます。

そのため、予備知識のない方を相手にしたときに不親切な対応になってしまうかもしれません。

この点においては、「大は小を兼ねる」といった状況にはなく、お客様に寄り添う立場の人間として、目線を合わせた話ができることが重要です。

 

【編集後記】

退職時期が明確に決まりました。ただし、口頭ベースですので書面に残して確定になります。

いよいよおしりが決まって、開業準備も本格化することになります。